ホクロ・皮膚腫瘍
ホクロ(母斑)と悪性腫瘍(特にメラノーマなどの皮膚がん)は、見た目が似ていることがあるため、区別が重要です。
悪性腫瘍が疑わしい場合は、近隣の基幹病院に紹介させていただいております。
ご心配な場合は、まずは当院を受診ください。
ホクロと悪性腫瘍の違い
ホクロ(母斑)
ホクロは皮膚にできる良性の色素性病変で、通常は無害です。ホクロはメラニン色素を生成する細胞(メラノサイト)が集まってできたもので、茶色や黒色の斑点として現れます。
色は茶色や黒色で、形状は丸く、境界がはっきりしていることが多いです。
サイズは1mm~数mm程度のものが一般的で、生まれつき存在することが多いが、加齢とともに新しくできることも多いです。
痛みやかゆみはありません。
悪性腫瘍(メラノーマなど)
悪性腫瘍は、皮膚細胞が異常に増殖してがん化したもので、特にメラノーマ(悪性黒色腫)は、メラニンを生成する細胞から発生する非常に進行が早い皮膚がんです。早期発見が重要です。
色が不均一(茶色、黒色、赤色、青色、白色などが混在することがある)で、境界が不明瞭で、形がいびつで不規則なことが多いです。
大きさが急に変わり、特に急に直径6mm以上になるものは注意が必要です。
痛みやかゆみ、出血、潰瘍ができることがあります。
既存のホクロの形が急に変わった場合や、新しく異常なホクロができた場合には注意が必要です。
診断
ホクロと悪性腫瘍を区別するための診断方法は、以下の通りです。
見た目での診断
悪性腫瘍との鑑別では『ABCDEルール』が有効です。
これはホクロやシミを観察して、悪性腫瘍の兆候を見つけるためのルールです。
A(Asymmetry)非対称性
ホクロの形が左右非対称の場合、悪性腫瘍の可能性があります。
B(Border)境界不明瞭
境界線がギザギザしている、またはぼやけている場合、注意が必要です。
C(Color)色の不均一
一つのホクロに複数の色(茶色、黒、赤、青、白など)が混じっている場合は要注意です。
D(Diameter)直径
6mm以上の大きさになる場合、悪性の可能性があります。
E(Evolution)進行
サイズ、形、色が変化するホクロや、新たに現れた異常なホクロは要注意です。
生検
診察の結果、疑わしい場合は、当院で生検(患部の一部を切り取って顕微鏡で詳しく調べる検査)を行わせて頂きます。
生検の結果次第では近隣の基幹病院へご紹介させていただきます。
治療法
ホクロや悪性腫瘍の治療法は、良性か悪性かによって異なります。
ホクロ
ホクロ自体は通常無害で治療の必要はありませんが、以下のような理由で治療を希望する場合があります。
- 美容的な理由でホクロを除去したい場合
- 衣服や髪、刃物に引っかかりやすいホクロの場合
- 日常生活で摩擦がかかりやすく、刺激を受ける場所にある場合
ほくろの治療法には次のものがあります※自費治療になります。
切除手術
ホクロを完全に切除する方法です。
局所麻酔のもとで切除します。
多少の傷跡は残ります。
レーザー治療
小さなホクロや表面的なホクロに対しては、炭酸ガスレーザーで焼灼し、除去します。
悪性腫瘍(メラノーマなど)の治療
悪性腫瘍の場合、迅速な治療が必要です。
基幹病院にて、手術、放射線治療、免疫チェックポイント阻害剤などを組み合わせた治療を行います。
メラノーマのような悪性腫瘍は進行が早く、転移のリスクが高いため注意が必要です。